西村ツチカ

2017-03-26

ココハナ5月号(3/28発売)の「トキメキモノ!」というコーナーを担当しました→
これさえ使えば誰でも目の前の風景を写し絵にして描けるという、お絵かきおもちゃ「マジカルイラストレーター」(バンダイ)についての1ページ漫画です。

デイヴィッド・ホックニー著『秘密の知識』(2001年)は、中世以降の西洋絵画の制作に光学機器がどのように使われてきたかを、著者自ら実験を重ねて検証する本。ホックニー氏が大量の絵画を技術的に分析していく手つきが明快に示され仮説検証結論を手短にまとめるスタイルで進んでいきます。図版もでかくて見やすく、本質が次々手渡されてくる感じでメチャ読みやすいです。自分にとっては漫画の写真トレス背景とも通じるテーマ自体に興味津津だったのとホックニー作品ファンな贔屓目も手伝って、いつも集中力がなくて本を最初数行だけ読んで文化的な気持ちを得ようとする自分ですがこれは夢中で読み終えました。興味ある人は読んでね。

この本に登場する光学機器カメラ・ルシダ(1800年頃)を復刻したネオルシダの動画。マジカルイラストレーター(2015年)もこの原理を応用したおもちゃですがこっちは今風のデザインで、デート中にカバンからサッと取り出して「動かずに」とかいって相手の顔をスケッチしてあげたらウケるかも。ただ本書にもあるとおり使い方が難しくて熟練しないと普通にヘタクソなラクガキが出来ます。どれ位難しいかというと、新婚旅行でカメラ・ルシダを使ってスケッチしたものの全然うまく描けず奥さんにガッカリされたウィリアムヘンリーフォックスタルボット氏は、復讐心に燃え、映した映像をわざわざ描かなくても化学的に焼き付ける技術(=写真)を発明したほどです。その写真の発明が芸術に与えた影響ははかりしれず反動でキュビズムが流行り、もう絵は写真みたいに描かなくても良くなった瞬間に氏が果たして復讐大成功…とほくそ笑んだかどうかは知りませんが、ネオルシダが55ドルで買えることはたしかです→

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by tsuchika | 2017-03-26 08:49